
お金はどんなライフスタイルの生活を送っている方でも欠かせないツールです。欠かせないものである以上、そのお金とはそもそもどのようなものなのか、立ち止まって考えてみることも大事です。お金の役割を理解すると、より有用なお金の使い方が分かるかもしれません。
信用が価値となってきたお金の歴史
現代の世界は「貨幣経済」で成り立っています。貨幣経済で働かせているお金の価値は信用で成り立っており、このお金という「ツール」は、事業を拡大したり、商品やサービスなどを購入したりと、私たちの選択肢を拡げる画期的なものです。
貨幣経済が成立する前、お金というツールがない太古の時代などは、商品の購入などの取引は物々交換で行われました。例えば、魚を必要としている人と貝殻を必要としている人が、お互いに必要な分を交渉して、交換するといったことをしていました。貝殻がお金がわりになっていたということです。
しかし、このような物々交換を続けていても、人々の欲求は十分に満たすことができません。魚と貝殻を交換するといっても、それらが同じ価値を持っているかどうか客観的に分かりません。人によってその価値もかわるでしょうし、本当に欲しいものでないかもしれません。
お金の3つの役割
物々交換だけでは、満足する取引ができなくなってきたなかで、「お金」というツールが登場します。お金は物々交換では満たせない欲求を、以下で説明する3つの役割で補うことができました。
①交換の手段
ものやサービスを交換する手段としての機能のことです。
例えば、魚と貝殻を交換する物々交換では、自分が何か欲しいと思ったとしても、相手が欲しいと思うものがなければ取引ができません。しかし、お金というツールがあれば、決まった金額を支払えば、ものやサービスを提供してくれる人からすぐに買うことができます。
この機能のおかげで、日本の商品に限らず世界中の商品を買うことを、お金を通して行うことができるのです。
②価値の尺度
お金というツールで価値を測ることができる役割です。その役割はさらに3つに分けられます。
一つは、ものやサービスの価値を測る尺度です。
例えば、魚ひとつとっても様々な魚の種類があり、それぞれ価格が違います。希少価値のある魚には高額な価格が付くのに対し、広く出回っている魚は価格が安くつきます。お金は価値の高さを測る基準を担っています。
ふたつめは、通貨の価値を測る尺度です。
ドル高円安と言われるように、円とドルの相場は通貨同士で互いに価値を測っています。このように、お金はものやサービスだけでなく、通貨自体の価値を測ることも可能です。
三つ目は、社会的な価値を測る尺度です。
一般的に年収の高い人ほど社会的に価値のある役割を担っているという評価を得ていることが多いです。その社会的な価値を測ることもお金が担う役割の一つです。
③価値の貯蔵
お金というツールに価値を保存しておくことができる役割です。
この役割は特にお金がもたらした機能として重要です。例えば、物々交換の時代では、交換により魚を得たとしても、食べずに置いておいたら腐ってしまいます。時間とともに魚の価値は減ってしまいます。
しかし、お金を使えば、それ自体に価値を貯蔵してそのまま置いておくことが可能です。そのため、いますぐ使わず、将来に買いたいと思っているものを買うまで置いておくことができます。これにより、欲しいものを欲しい時に買うことが可能となりました。
3つの役割を効率的に活かすには?
これらのお金の機能を知っておくと、普段の生活に考え方を役立てることのできます。
お金がもたらした大きな役割は、価値を測ることと保存ができることです。
まず、価値を測ることについては、日常生活で販売されているものやサービスの価格が、本当にその価値に見合ったものなのかどうかを測る意識を持つことができます。また、保存の機能により、購入する時期を見定める意識を持つことができます。
具体的な例としては、株式投資などはこれらの機能を意識した投資となります。企業のサービス価値に対して株価が安いと思った時は、その株式を購入し、そのサービスが今後評判がよく広く利用されると予測した場合は、その株式をそのまま保有しておき、株価が上がった時に売却して利益を得ることができます。
お金の役割を理解しておくと、適正な価値を見極める目を養うことにも役立ちます。
今回はお金の役割を改めて振り返ってみました。日常生活で無意識にでも関わっているお金の役割を、このように改めて振り返ってみるのは、お金に振り回されないより自由な考え方を身に付ける良い機会になるのではないでしょうか。
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