
試算表を作ってほしいと、社長が税理士に頼むケースはよくあります。
銀行から「試算表が必要です」と言われて、社長が税理士に頼む流れが多いですが、
このケースのように、社長が税理士に「試算表を作ってもらう」意識だと、注意しておかないといけないことがあるというお話しです。

数字が他人事になる
税理士に試算表を作ってもらっていると、社長は数字の出来上がりについて、他人事として受け止める可能性も持っています。
そもそも試算表は、税理士が(本来は)作るべぎものではなく、会社が自分のために作るものです。
その自分のための数字が載っている試算表。経営判断のために活用することが多く、銀行融資や経営・財務状況に関係するものです。
特に銀行は、融資審査の際に財務状況を確認したがります。その時に聞かれる質問は「この経費の内訳はどういうものですか?」と聞かれます。
このときに社長がその内訳を答えられるかどうか?
試算表を自社で作っているなら、恐らく答えれるはずです。
それが、税理士に試算表の作成を任せていることで、他人事のようになり、内訳を答えられないということにもなりかねません。
銀行は、社長が試算表を見て、適切に経営判断をしていることを確認したいので、自分の口から説明できるかどうかを見ています。
銀行融資を受けたいときは、試算表に表れている数字の内容を、自ら説明できるようにしておかないといけません。
試算表の作成が遅れる
税理士に作成を任せる場合、元となる資料を用意して、取りまとめてから郵送またはデータ送信します。
その時間のタイムラグも含め、試算表を作成する時間もある程度かかります。
試算表の作成が遅れることで影響するのは、やはり銀行の融資審査です。
銀行にとって、一番知りたい情報は、最新の財務状態に応じた経営状況です。
資金は充分残っているのか、借入金額は妥当なのか、利益は継続的に出せているのか。
これらの数字の結果を、最新のものとして確認したがっています。
「毎月10日までに前月分の試算表が出来ている」状態が理想です。
最新の数字を出せない場合、銀行も社長が適切な数字を元に経営判断しているのか?と疑う目を持ってしまいかねません。
数字の理解が曖昧になる
社長が陥りがちなことは「数字は既に把握している」感覚に陥りがちなことです。
試算表を作成してみたとしても、「融資のために必要だから」という理由で作成しただけでは、試算表は「とりあえず用意すればいい」だけのツールに成り下がってしまいます。
大事なのは、試算表を作ったあとの、経営課題や業績の把握にズレがないかを確認することです。
数字として明確に出した試算表と、実際に頭の中で感じている課題にズレがあったら、経営判断の精度は落ちるでしょう。
「利益は充分出ている」と頭では思っていても、「お金が残っていない」ということもあり、実際に感じていることと数字とのズレはよくあります。
それをそのままにしておくと、思わぬ落とし穴もあるかもしれません。銀行に説明するときも、整合が取れているかどうかは、このズレの解消にあるからです。
試算表を作成する場合は、その内容の理解を深めていただきたいと思います。試算表を「とりあえず用意すればいい」というもので終えず、経営に活用できるツールとして見直していきましょう。
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