
経営者にとって融資を受けるべきか考える時は、資金繰りをどう行うかの悩みがあるときでしょう。または「資金が足りないからお金を借りたい」という経営者の方もいらっしゃいます。
実際に経営するにあたり、資金繰りを改善するために借入をする中小企業の割合は依然として多いですが、そもそもなぜ借入しているのかを今一度把握しておくことも必要でしょう。
特に創業者は初めが借入しやすいときです。自身の事業に借入が必要かどうかについて知識を身につけておきたいところです。
無借金経営の中小企業の割合
そもそも、無借金で経営している中小企業の割合はどのくらいあるかご存知でしょうか?
次のグラフは『2016年版 中小企業白書概要|経済産業省』の「企業規模別に見た無借金企業の割合」です。
2014年時点で35.4%の無借金企業の割合なので、100%ー35.4%=64と、
3分の2の中小企業は、銀行から借入をしているということになります。
最近では、コロナ感染による経済への影響から、中小企業がコロナ特例による借入を増やしているので
借入をしている中小企業の割合が増加していると見ていいでしょう。
中小企業に借入が必要な理由
このように、多くの中小企業では銀行からの融資を受けています。
それだけ経営には借入をする必要があるということです。
ではなぜ、中小企業は銀行からの借入が必要なのでしょうか?
1 事業のスピードを速めるため
法人でも個人事業主でも、事業を行うには資金が必要です。
例えば、会社勤めをしている個人が事業を始めるときのことを考えてみてください。
この個人の方は、事業を始める時の資金は、会社で働いていただいた給料から貯金をして用意しているはずです。
その個人の方が始める事業で必要な資金が1000万円の場合、その1000万円が貯まるまでは長い年月がかかるでしょう。
それだけ長い時間が経過するにつれて、ビジネスアイデアが古くなり、事業を始める機会を逃すかもしれません。
もし、この貯金を300万円まで貯めて、銀行や日本政策金融公庫から融資を受ける場合、
残りの700万円の融資を受けることで、自己資金の300万円と合わせて1000万円を用意することができます。
このように、創業する場合には、必要な資金をすべて自己資金として用意しなくても、
融資を受けることで創業のスピードを速めることができます。
融資を活用することで、事業を展開するスピードを速めることができるメリットがあるのです。
2 資金の立て替えに対応するため
事業を進めていくと、売上は順調に上がっていても、預金が十分に増えない場合があります。
特に、仕入れた商品を販売し、売上が上がっても、未入金分は売掛金として残ります。
この売上の現金が入金されていない間というのは、会社が一時的に資金を立て替えている状態です。
また、商品を販売されるまでの仕入れの在庫が残っている状態も、一時的に会社が立て替えていることになります。
このように、立て替えにより現金が少なくなっている状態が続けば、資金が足りなくなる可能性もあります。
そのような事態に備えるためにも、銀行からの借入により資金を用意しておく必要があるのです。
3 万が一に備えるため
また、最近では新型コロナウイルス感染の影響により、事業活動に歯止めがかかる事態も起きました。
そのような不測の事態に備えるためにも、銀行からの借入で資金を用意しておくと安心です。
不測の事態は新型コロナウイルス感染だけではありません。
取引先との取引停止や社員の退職など、いつ不測の事態になるかは予想しづらいです。
そんな時に資金が足りないと事業が回りません。銀行から融資を受けたいと思っても、審査が通らないことも考えられます。
そのような不測の事態に遭ったとしても、普段から多くの資金を持っておけば、揺るがずに経営が続けられます。
普段から多くの資金を持って備えておこう
中小企業にとって、経営を続かなくなる状態は、資金がなくなるときです。
どのような事態になったとしても、資金が多く残っていると経営を立て直すチャンスを迎える可能性は高まります。
そう考えると、経営状況によっては無借金経営がベストとは限りません。
むしろ、借入をしておくことで、思わぬ事態に対処できたということもあるのです。
中小企業の経営の要になる資金繰りの対策として、銀行融資の知識はしっかり持っておきましょう。
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