
日本人は何らかの保険に加入している方が多いと思います。「社会人になったから保険に入っておかないと」 「何となく不安だから入っておこう」など、動機は様々です。しかし本来、保険はどういう目的で加入するのでしょうか。そもそも保険がどういうものか、よくわからないまま加入されている方も多いのではないでしょうか。
1.保険はしかるべきリスクに備えるもの
保険の特徴を表す言葉として「貯蓄は三角、保険は四角」というものがあります。これは、貯蓄が毎月一定額を貯蓄していけば、右肩上がりに貯蓄金額が増えていく様を三角で表したのに対し、保険は加入した最初の時点から一定の保険金を保証している様を四角で表したものです。
これは、保険に加入していれば、最初の貯蓄がない時に何か万が一のことがあったとしても十分な資金を用意できるということです。逆に言えば、すでに十分な貯蓄があれば、保険に加入する必要はなく、その貯蓄で賄うことを考えれば済むのです。
ここで、保険に加入する目的を考えてみます。保険は自分に万が一のリスクがあったときに備えて加入するものです。
例えば、万が一の事態となったときに保険料1000万円を受け取るために、保険料を毎月支払います。ここでいうリスクとは、危険のことではありません。リスクとは「不確実性」であり、人が生活をしていくなかでいつ病気やケガをするかは誰にも分かりません。
しかし、リスクは自分である程度コントロールすることもできます。例えば、交通事故に合わないよう気を付けることや、病気にならないよう運動や食事に気を付けることも、リスクに備えることです。
その意味では、保険はリスクに備える一つの手段でしかありません。必ずその手段でなければいけないわけではないのです。「何となく不安だから」とか「万が一のことがあると困るから」という漠然とした理由で保険に加入する前に、まず自分の周りにどのようなリスクが潜んでいるのか、それを洗い出してみることです。
初めに目的を明確にする、その後しかるべきリスクに備えるために最適な保険を最低限加入する。
これが保険に加入する基本原則です。
2.保険は高額な金融商品
もし現在、保険に入ってはいるけど漠然と入っていると思うのでしたら、その場合はもしかしたらしかるべきリスクに最適な保険を選んでいない可能性があります。
日本人の保険の加入率はおよそ8割とも言われますが、中には年間40万円〜60万円の保険料を支払っている方もいます。しかし、保険に加入する原則的な考え方は「最適なものを最低限」です。ほとんどの方は加入しすぎていると言えるでしょう。
そもそも保険は特殊は金融商品です。長期にわたって加入するため、トータルでいくらの保険料を支払うのか人目では分かりにくい特徴があります。
例えば、月2万円の保険料を40年間支払ったとしたら、トータルで支払った保険料は960万円です。年齢が上がれば保険料は上がるためこれ以上の支払いになります。保険というのは、住宅ほどではないですが、新車よりは遥かに高い金額を、月2万円という分割払いで買う高額商品なのです。
このことからも、無理なくリスクに備え、手元の資金をしっかりと残せるように保険に加入することが大切です。
3.保険料が算定される仕組み
保険に加入すると支払うことになる保険料ですが、保険という商品の設計上、保険会社が支払う保険金の金額とちょうど同じになるようになっています。これを「収益相当の原則」と言います。
保険会社では、私たちが支払った保険料の一部を、株式や債券で運用しています。運用することで収益を得て保険金との収支のバランスを保つことを行っています。
運用が上手くいくかは実際にやってみないと分からないのですが、運用する際は、収益を事前に予想しておき、予想する収益を元に保険料の割り引きを行って保険料を算定しています。この保険料の割引率のことを「予定利率」と言います。
運用の良し悪しは景気の良し悪しに連動しています。景気が良い時は予定利率が良くなり、保険料は安くなりますが、景気が悪い時は予定利率が悪くなり、保険料が高くなります。
4.保険料の内訳
保険料の内訳は大きくは「純保険料」と「付加保険料」に分けられます。
「純保険料」は保険会社が将来支払う保険金の元手となる部分、「付加保険料」は保険会社の運営上の経費や利益にあたる部分になります。
保険金の元手となる「純保険料」ですが、ここの金額は保険会社による違いはほとんどありません。この元手となる部分は、加入者の性別や年齢などの情報をもとにした統計数値をもとに算出しているため、大きな違いが出ない仕組みとなっています。
これに対して、保健会社の運営経費の部分にあたる「付加保険料」は、保険会社によってまちまちです。正確に言えば、保険会社はこの「付加保険料」の内訳を公表していないため、正確な数値が把握できないのです。
内容は保険会社の人件費や広告費、パンフレット代やCM料、そして利益となっています。保険会社はこの費用部分がいくらかかるのかを見積もり、予定事業費率として保険料に反映しているのです。
なので、保険料には、様々なコストが上乗せされているということだけは意識しておいた方がいいいでしょう。保険に加入する場合は、保障内容や保険料がほぼ同じもので商品を比較する必要があります。
保険に加入する際は、保険そのものの成り立ちを理解した上で、しかるべきリスクに最適は保険を最低限加入することを原則として検討することが大事です。保険の見直しをするときもこの視点から見直すと良いでしょう。
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